音楽(BGM)の著作権・著作隣接権

著作権・著作隣接権について

入退場の曲やムービーに使用する曲を好きな曲にしたいという方は多いと思いますが、結婚式の用途での音楽・BGMの使用は許諾がなければNGとなっています。
結婚式は身内や友達が集まるものなので「私的利用」と思われるかもしれません。
しかし、多くの人が集まる場であり、さらに音楽が演出として大きな役割を果たしている結婚式では「商用利用」とされます。

したがって、許諾がないと音楽・BGMの使用はできません。
ですが、逆に言えば「許諾があれば使える」ということになります。

このページでは「色々調べたけど難しすぎて分からない……」「結局どうすれば使えるの?」という方のために、他のサイトの説明よりもやや噛み砕いて説明しています。
そのため、少し語弊のある部分もあるかもしれませんが、このページを読んだ後にJASRAC等の説明を読むとより分かりやすいかと思います。

※式場により異なります。よく確認を行ってください。

誰の許諾を取れば良い?

まず、誰の許諾が必要なのかと言うと、以下の2ヶ所になります。

①音楽を作った人(作曲者、作詞者など)→著作権
②音楽を伝える人(歌手、レコード会社など)→著作隣接権

①は「音楽を使用するための許諾」です。
著作権は音楽そのものにかかっている権利で、作曲者や作詞者などの「その音楽をこの世に誕生させた人」が権利を持っています。
ただし、実際のところ多くの場合はJASRACという団体が著作権を管理しています。

②は「CDを使うための許諾」と言えば分かりやすいかも知れません。
著作隣接権は著作物(=音楽)を伝達する人、具体的には「音楽を演奏した人、歌った人」「CDを作った人」にかかる権利です。
音楽そのものには権利を持ちませんが、それを演奏した音源、作ったCDに対しては権利を持っています。
こちらはレコード会社に許諾を取ります。

生演奏などの場合は演奏するのは自分達なので①のみ許可を取れば「音楽を使う」ことが可能ですが、BGMとしてCDを流したい場合は②の「CDを使う」許可も必要になってきます。

ですので、BGMとして使いたい場合、基本的には①②の2ヶ所に許諾を取る必要があることを覚えておいてください。

必要な許諾は?

次に、どのような許諾を取れば良いのか?です。
前項の①にかかるものが「演奏」の許諾、②が「複製」の許諾です。


使用用途(入場曲として流したいのか?ムービーに使いたいのか?)によって必要な許諾は変わってきますので、分けて説明します。
こちらが必要な許諾フローチャートです。

結婚式のBGM使用に必要な許諾

それぞれの場合について、以下で詳しく説明します。

演出のBGMとして当日流したい場合

まずは入退場やケーキ入刀の演出のBGMとして使用したい場合(=演奏)です。

通常の結婚式場では、CDを流すことについて、既にJASRACからの許諾を得ています。
ですので、「CDを持ち込み、BGMとして流してもらう」ことは多くの式場で可能になっています。
この場合は新郎新婦が許諾を取る必要はありません。

持ち込むCDは原盤(コピーでないもの)である必要があり、レンタルCD等はNGですが、正規に購入したものなら中古CDでも大丈夫です。

※中には許諾を得ていない式場もあるかと思います。
著作権を無視して使用している式場もあるかもしれませんが、それが発覚した場合には新郎新婦にも罰則があります。
契約時によく確認した方がよいでしょう。

結婚式の様子を、当日流した音楽ごとDVDやBlu-rayに記録したい場合

前項の許諾は「CDをBGMとして流すこと」のみのものです。
「好きな音楽をBGMとして入場すること」はできるのですが、「その様子を記録ビデオに収め、式場(業者)が新郎新婦に販売すること」(=複製)は認められていません。

新郎新婦の多くは業者に当日のビデオ撮影を頼んでいるかと思います。
権利の発生する音楽を当日に使用した場合、記録ビデオにそのまま入れたいのであれば、複製のための許諾を取らなくてはなりません。
料金は曲により異なりますが、何曲も使うとなると数万円はかかってきます。

「記録ビデオは撮るが、音楽は入れない」という選択肢もあります。
その場合は「複製」の許諾は要らないので「演奏」の許諾のみで良くなります。
当日は流したいが、記録までは残さなくて良いという場合には、映像にフリーの音楽を被せてもらうことができます。
ただしこの場合はBGMだけでなく、司会の声や歓声、拍手なども全て消えてしまいますので、当日の空気感はどうしても薄くなってしまいます。

さらに、音楽を被せる作業について、音楽の権利者ではなく映像制作の業者に対する料金が発生することがあります。
ですので、この方法は「当日どうしても流したいが、複製の許諾が取れなかった曲」に使うとよいでしょう。

どちらにしても、全てのBGMを自由に選ぶとなるとそこそこの金額になってしまいます。
節約したい場合はフリー音楽を活用し、好きな音楽は厳選した方が良いかもしれません。
フリー音源であれば当日流すことはもちろん、そのまま記録することも自由にできます。

ムービーのBGMにしたい場合

オープニングムービーなどのBGMとして使いたい場合です。

この場合は通常のBGMとは違い、式場で流すだけではなくDVDやBlu-rayなどに収録してしまっています。
そのため、複製の許諾が必要です。

ただし、「無音のムービー」を用意し、当日はムービーと同時再生でCDを流してもらう方法であれば、複製にはなりません。
「演出BGM」の方法として使用することができます。
(※それを丸ごと当日の記録ムービーに収める場合は複製です。)

節約したい方はこの方法が有効ですが、同時再生とはいえ人の手ですので、どうしても多少のズレは出てきてしまいます。
音楽の歌詞やリズムに合わせたムービーを作りたい場合は複製の許諾を取り、ムービーの中に入れ込んでしまった方が良いかと思います。
ただムービーの雰囲気作りとして流したいだけの場合はこの方法でも良いでしょう。

具体的に何をすれば良い?

上記の通り、結婚式に使用する音楽の許諾は「流すだけの場合」と「収録する場合」で違っています。

では、具体的に何をすれば許諾を取れるのでしょうか。

「流すだけの場合」=演奏利用
この場合は前述の通りですが、多くの式場では既に許諾を取っています。
ですので、新郎新婦が何か申請をする必要はありません。
CDの原盤だけ持ち込めば大丈夫です。

「収録する場合」=複製利用
音楽を流すだけではなく、記録ビデオに残したい場合やムービーに使用したい場合、複製の許諾を取らなければなりません。
しかし、新郎新婦が自分でJASRACとレコード会社に許諾を取る手続きをするのは大変です。
そこで、通常はISUM(アイサム)に代行申請を行ってもらいます。
ISUMのデータベースに載っている楽曲であれば、新郎新婦の代わりに許諾取ってもらえます。
申請はブライダル業者(結婚式場)が行いますので、プランナーさんにお願いしましょう。

結婚式のBGM使用に必要な許諾の取得方法

こんな時はどうする?

ISUMに登録がない楽曲

使いたい音楽がISUMのデータベースにない場合は、楽曲リクエストをしてみましょう。
こちらは新郎新婦が無料で行うことができます。
楽曲リクエストすると、ISUMが各権利者に対して利用手続きの代行をできるかどうか確認してくれます。
可能だった場合はデータベースに載りますが、不可の場合は利用することができません。
また、可能の場合もデータベースに掲載されるまで数ヶ月かかることがありますので、早めにリクエストを行いましょう。

流したい音楽のCDが無い場合

CDは原盤である必要がありますので、手元にない場合は購入しましょう。
配信限定でCDがない楽曲もありますが、そういった楽曲は現時点では使用不可とされることが多いでしょう。
以下は使用可能な楽曲と使用不可の楽曲です。

使用可能な楽曲↓

自分で購入したCD
友達から借りたCD
中古ショップで購入したCD
レンタル落ちで購入したCD

使用不可の楽曲↓

レンタルした(レンタル中の)CD
ダウンロードした音楽データ
購入したCDを複製したもの

許諾が取れなかった場合

結婚式に使用するためには必ず許諾が必要です。
ISUMのリクエストが通らなかった場合は自分で権利者に利用について問い合わせる方法もありますが、実際は難しいと思われます。

許諾が下りなかった場合や権利者とコンタクトが取れなかった場合は諦めるしかありません。

著作権・著作隣接権の違反は新郎新婦にも罰則があります。
ルールを守って使用するように心がけましょう。

←「結婚式準備」に戻る

-結婚式準備